2016年5月18日水曜日

介護度改善でインセンティブ(川崎市限定の話)

川崎市が2016年度より

要介護度や日常生活動作の改善に成果を上げた介護事業所にインセンティブを付与する

「かわさき健幸福寿プロジェクト」

内容は以下(ケアマネジメントオンライン、知るNAVIより)

現行の介護保険制度の下では、介護サービス事業所のケアにより、利用者の要介護度が改善すると報酬が下がる仕組みになっている。同市では、高齢者の自立支援に向けた質の高いケアを評価する仕組みの構築を目指し、2014年4月に「かわさき健幸福寿プロジェクト」を開始。2014年度と2015年度のモデル事業では、市内の居宅介護支援事業所や介護老人福祉施設を中心とした事業所が参加し、要介護者の日常生活動作の改善に向けた取り組みや、その結果に応じた報奨などの導入の検討を行った。

本事業では、1年間を1サイクルとし、ケアマネジャーを中心にしたサービス提供事業所が「チームケア」に取り組み、利用者や家族の希望を踏まえて、要介護度や日常生活動作の改善を目指す。一定の成果を上げた事業所(チーム)にはインセンティブが付与される。
本年度は2016年7月1日から2017年6月30日までの期間、200事業所・300人の参加を目標に、対象者の人数ベースで要介護度は改善17%以上、一定期間維持65%以上、日常生活動作は改善50%以上を目指す。インセンティブは、報奨金のほか市長表彰、認証シール、川崎市公式ウェブサイトなどへの掲載などを予定している。

引用ここまで

すごい取り組みだと思います。

川崎と御殿場を行ったり来たりしている私の印象ですが、こういう取り組みができるのは川崎が次の要素を持っているからだと思います。

1、人口が大きいため介護が必要な住民と介護を仕事にしている住人が多い事。


これは、どんな仕事もそうですが一定以上の需要と供給が成り立っていないと維持も発展もできないからです。人口が少なく改善を考えるだけのエネルギーが起きにくい場所ではなかなかできません。

2、川崎市は介護保険法ができた初期の方からケアマネを増やし、介護サービスを拡充させてきている


常に先進的な、ある意味実験的な介護に関しての取り組みをやり続けトラブルも批判も地域全体で解決し乗り越えてきたので、川崎市民は介護に対して周知や理解が浸透しています。
地域によっては認知症にならないと介護を受けられないと思っている方が大半を占める場所があります。


3、国や行政が決めてきた制度に対し、住民からの意見を反映することによって改変や改善を促してきた


フランクな表現ですが
「それはダメだろ」「その制度は問題だろ」という意見が早めにまとめられて地域ケア会議等で検討されやすい土壌があります。


 インセンティブの取り組みについてですが現行の介護サービスには今報道されている人件費や人手不足以外に報道されにくい「介護度が下がると困る人たちが割といる」事実です。

通常、介護度がさがると介護点数も下がってしまうのでサービスが必要な家庭の場合自費でサービスを入れる割合が上がってしまったり、必要なサービスを我慢してしまったりします。

さらに事業所側、標準的なデイサービスの点数を例に出しますが
5時間以上7時間未満のサービスを提供するデイ
要介護1 641点
要介護2 757点
要介護3 874点
要介護4 1144点
要介護5 1281点
実際には送迎やほかのサービスで増減しますので必ずしもこれではありませんが、確実なことは
「介護度が下がるとサービス事業所の収入が下がる」
コレデス

つまり、よほど特別な理由がなければ介護度が下がることは利用者本人も家族も事業者側も潜在的に「望めない」

よくなってほしいけど、動けるようになりたいけど、中途半端にサービスが悪くなるならそのままがいい。という風になりがちなのです。

これに対して、事業所にインセンティブを設けて自立支援の効果向上を目指すという取り組みは、なかなかできないことだと思います。

この取り組みに対して色々なトラブルや批判が当然出ると思います。

やる気がないのにリハビリを強要されるとか

介護負担が厳しくなったとか

計算したり資料を作るのが大変とか

いろいろ、本当に色々出るかと思います。ぜひとも川崎で成功させて全国の参考になるといいと思っています。